慶應義塾大学 - 電気自動車研究室

 
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清水浩教授 Eliicaまでのクルマ作り

Eliicaを含め、30年間の間に8台の電気自動車の開発に関係しました。このような開発を続けながら、3つの価値で作る三角形の大きさを大きくすることに努力して来ました。

Aカーはガソリン自動車の改造車です。エンジンを取り出し、替わりにモーターと電池を積み込むことによって作ることができます。現在の自動車メーカーで作られている電気自動車もこのような作られ方をしています。

Bカーは電動二輪車です。この時代から電気自動車は車輪の中に挿入することが最も合理的だと考えて来ました。インホイールモーターです。この方式にはモーターから車輪へ効率よくエネルギーを伝えることができること、車体の中にモーターを置く必要がないため、車室内の空間が拡げられること、車体の構造が単純になり部品の数も少なくできるという特徴があります。
Bカーは株式会社東京アールアンドデー及びセイコーエプソン株式会社の共同研究で開発しました。

Cカーは4つの車輪にモーターを挿入しました。新日本製鐵との共同開発でした。

DカーはCカーをさらに改良したもので、IZAという名前が付けられております。この車は最高時速176km、一充電走行距離270kmを実現しました。この段階で、電気自動車の性能はガソリン自動車に近いものになることを示した点で、画期的な開発でした。IZAは東京電力が研究会を組織し、そこでの話し合いを続けながら開発をしたものです。

Eカーは大形トラックです。高いところの大気を採取して成分を測定する目的で作りました。大気を採取する時に、自らが排気ガスを出しては良い測定ができません。このため、電動で動くトラックが必要でした。Eカーは、シリーズ式ハイブリッド車です。約30kmの距離は電池のみで走り、それ以上の長い走行はガソリンエンジン発電機で起こした電力で走行します。

Fカーで初めて床下の中空フレームの中に電池を挿入するバッテリービルトイン式フレームの構造を思いつきました。これによって、床から上に容積の大きな電池のための空間を設ける必要がありません。最も重い電池が床下に来るため、重心が低くなります。さらに、電池容器とフレーム構造が一体化できるので、車体の重量が軽くできます。

そして、電池の安全性にも対応できます。2005年ころにパソコン用や携帯電話用の電池で加熱や発火などの事故がおきました。それで、リチウムイオン電池は危険ではないかと思う人が増えました。これらの小型電池は重量当たりに貯えられる電力を最大にするため陽極にコバルトが使われています。一方、電気自動車の大型のリチウムイオン電池にはマンガンが使われています。マンガンを使うと発火や発熱の可能性は極めて小さくなります。それでも、規定の充電量の何倍もの電力を間違って充電したような時には、電池内部の圧力が上がり、安全弁が開いて、内部の溶液が飛び散るようなことがあり得ます。このようなことが起こっても、被害が広がらないようにするため、強固なフレーム構造の中に電池を収納していることは有効です。
Fカーは文部科学省振興調整費の研究予算の枠組みで開発しました。

Gカーはリムジン型の乗用車です。Fカーを開発した時は、インホイールモーターとバッテリービルトイン式フレームのおかげで、床から上に乗る主要部品がほとんどなくなるために、床から上の室内空間が大いに広げられると期待しました。しかし、実際に完成してみるとこれまでと同一サイズのタイヤを用いていたため、これが居住空間に大きく食い込み、思ったほどの空間の拡大の結果はありませんでした。
だから、タイヤを小さくしたい。しかし、単純に小さくしたのでは乗り心地が悪くなるし荷重も持たなくなる。
そこで考えたのは大きな車輪を小さな2つの車輪に分割することでした。すると、タイヤが客室空間に侵入する量が最小限で済みます。
この考えを適用して開発したのがGカーです。Gカーでは2つの隣り合う車輪をそれぞれ小型にして8輪車8輪駆動としました。そしてこのような形式のサスペンションをタンデムホイールサスペンションと名付けました。さらに、床下のフレームには電池のみならず、インバーター(速度制御装置)も収納しました。このため、バッテリービルトイン式フレームからコンポーテントビルトイン式フレームに名前を改めました。そして、インホイールモーター、コンポーネントビルトイン式フレーム、タンデムホイールサスペンションの3つから成る台車構造のことを集積台車と名付けました。
Gカーは文部科学省振興調整費戦略基礎研究の枠組みで開発しました。

 
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